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人材不足に悩む介護従事者さんへ当サイト管理人も長く介護の世界で仕事をしてきました。そして仕事を通して様々な経験を積んだり自分なりに勉強をしてきたりしました。そうするなかで介護を取り巻く社会の状況に危機感を感じ、当サイトを開設するに至っています。なお当サイトに対してご要望や質問がありましたらこちらまでご連絡願います。
介護職の人材不足を解消していく為には、人材の採用や育成と同時に現在の高い離職率を改善していかなければなりません。介護職の離職率は極めて高く、約20%と言われています。1年間で5人に1人は辞めていってしまう計算です。また特に就業後1年以内の離職率が高く、その数字は40%を超えています。
しかし全ての介護施設の離職率がこのように高いわけではありません。もっと離職率が低く人材の定着に成功している介護施設もあるのです。離職率の問題に適切に対処していく為には、すでに人材の定着に成功している施設の例から学ぶと良いでしょう。
特にお手本になるのが東京都の白百合会が運営している特別養護老人ホームの増戸ホームです。
この施設では職員の平均勤続年数が7年を超えており、勤続年数が10年を超えているベテランも多数在籍しているという素晴らしい施設です。どうして増戸ホームはこのように成功しているのかの秘訣を見ていきましょう。
まずは職員転換制度が非常に重視されていることがあげられます。これは能力や勤怠が優れているパート職員を正社員として雇用変更するということの他に、ライフステージなどの事情によって正社員を辞めざるを得ない職員に対してパート職員への転換も可能としているのです。
介護職として活躍する人には女性も多いですが、出産や育児などの事情によって正社員としての就業がどうしても難しくなってしまう場合があります。もちろん男性であっても子育てのために長期の休暇が必要であったり、正社員を続けることが難しくなったりする場合もあるでしょう。
また子育て以外にも、職員の方のご家族の介護の問題などが発生してしまうこともあり得ます。このようなことを考えた時に気軽にパート職員に転換でき、時期を見てまた正社員に戻ることも可能なこの制度はとても素晴らしい制度と言えるでしょう。
また増戸ホームでは上記の制度との関連づけとして、パート職員の処遇改善にもとても力を入れています。例えば給与面でもパート職員と正社員との間で区別がほとんどありません。パート職員でも正社員でも同じような条件で給与が年功制で上がっていきます。このため、長く働くことに対してのインセンティブが働いているという側面は大きいでしょう。
また各種手当や健康診断などの福利厚生も正社員とパート職員との間で差がありませんし、なんと退職金やボーナスなども差がないのです。
正社員とパート職員との間で処遇に差が開いている施設は多く、それがパート職員の方の離職にもつながっています。こうした増戸ホームの取り組みは極めて優れていると言えるでしょう。
「介護の質」は、介護する側とされる側どちらにとっても大切であり、常に社会の課題として取り上げられるテーマです。介護をする側に心の余裕がないと、良質な介護の提供は難しくなります。そこで、理想の働き方が叶う転職をとおして、介護の質を向上させるのは賢明だと言えるでしょう。しかしながら、転職すればすべてがOKというわけではありません。介護従事者の働き方が及ぼす「介護の質」のあり方に目を向けつつ、社会全体の問題として捉えることが大切です。
少子高齢化による問題の1つは労働力の不足です。現在この問題を補うために企業による定年の延長など様々な試みが行われています。実際に成果も上がってきていますが、より高齢者ならではの価値を発揮してもらうことが今後の課題と言えます。