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人材不足に悩む介護従事者さんへ当サイト管理人も長く介護の世界で仕事をしてきました。そして仕事を通して様々な経験を積んだり自分なりに勉強をしてきたりしました。そうするなかで介護を取り巻く社会の状況に危機感を感じ、当サイトを開設するに至っています。なお当サイトに対してご要望や質問がありましたらこちらまでご連絡願います。
日本の少子高齢化が社会問題として取り上げられるようになってからずいぶん長い時間が経ちました。20世紀末には日本人の平均寿命の長さも、急速に進む出生率の低下も問題視されていたので、現在のような高齢化による弊害は何年も前から予想できていたと言えます。そのため、政府も少子高齢化によって生じる問題に対してこの間何の手も打ってこなかったというわけではありません。残念ながら少子高齢化問題の抜本的な解決方法である出生率の向上や生涯未婚率の改善には失敗していますが、少子高齢化が進んでしまった場合に備えた対処療法も行われており、それらはそれなりに成果を上げ始めています。
そしてそのような対策の一つが、労働力の不足対策と年金制度維持のために行われた65歳定年制の導入です。これまでの日本社会では60歳が平均的な定年の年齢でした。60歳になったら会社を退職してこれまでの蓄えや退職金、それに年金などで暮らしていくという方が多かったのです。しかしそれでは社会全体の労働力が不足してしまい、年金制度も維持できないということで年金支給年齢の引き上げと企業側に対して労働者が望んだ場合の雇用年齢引き上げが義務付けられるようになりました。つまり、これまで60歳だった定年が65歳に引き上げられたのです。
65歳定年制の導入は2013年に始まっており、すでに一定の成果が上がっていると言われています。しかしまだ課題があることも事実であり、それは対象となっているシニア世代の方の労働力をより有効な形で発揮していくことです。現状60歳以上のシニアの方々の多くはこれまで勤務していた企業に継続雇用されており、そのことは労働力の不足問題には一定の効果を発揮しているのですが、シニアの方々にしかできないことをしているというわけではありません。
例えば日本と同じく少子高齢化が問題となっているヨーロッパの国々では日本と同じようにシニアの方々の社会参加を促す政策が採られていますが、日本のように単純な雇用の延長ではなく、シニア独自の能力を活かした社会参加の形が模索されています。
そのため今日本でも新しいアイディアが議論されており、シニアの方がこれまでの豊富な人生経験や子育て経験を活かして、保育や学童などの分野で活用してもらうようなことなどが検討されています。これは子供を育てやすい社会づくりにも繋がるため、良いアイディアと言えるでしょう。また特に人材不足が深刻な介護の分野で、同じシニア同士ということを活かした同世代カウンセラーとしての活躍なども期待されています。
「介護の質」は、介護する側とされる側どちらにとっても大切であり、常に社会の課題として取り上げられるテーマです。介護をする側に心の余裕がないと、良質な介護の提供は難しくなります。そこで、理想の働き方が叶う転職をとおして、介護の質を向上させるのは賢明だと言えるでしょう。しかしながら、転職すればすべてがOKというわけではありません。介護従事者の働き方が及ぼす「介護の質」のあり方に目を向けつつ、社会全体の問題として捉えることが大切です。
少子高齢化による問題の1つは労働力の不足です。現在この問題を補うために企業による定年の延長など様々な試みが行われています。実際に成果も上がってきていますが、より高齢者ならではの価値を発揮してもらうことが今後の課題と言えます。